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ブリキの太鼓のnanaのレビュー・感想・評価

ブリキの太鼓(1979年製作の映画)
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大人の醜悪さを目の当たりにし、3歳で成長する=大人になることを止めた少年オスカルの物語。

撮影時に何歳だったのかは知らないけれど、オスカル役の子がとても印象的です。
感情を露わにしたり、押し殺したり。
子供らしさを見せたり、大人のような一面も見せたり。
結構いろんなシーンを演じていて、どうやって演技指導したのか…

確かに大人は欲望にまみれて醜いかもしれない。
子供のように純粋ではいられないかもしれないけれど、それでも年を重ねて酸いも甘いも経験していくのが人間なんだろう。

「3歳の僕がおとなになるまで」なんて可愛いパロディタイトルも思いついたけど、舞台となっているのは、ナチスドイツが台頭する第二次世界大戦前後のダンツィヒ。
激動の時代の中、街や人々の(今となっては)異様な雰囲気が、不思議な少年オスカルの存在に加えて更に恐ろしい映画にしています。
成長を止めたオスカルと、物語全体に漂う「死」の気配がまるで背中合わせのよう。

非現実的でかなり過激な描写もありますが、こんな時代が現実にあったんだよな。
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