友達が以前気になっている映画と言っていたので観たがかなりの問題作…
生まれつき大人並みの知性を持つ主人公オスカルは、大人たちの醜態に嫌気がさし3才にして自らの成長を止め、代わりに叫び声でガラスを割る超能力(?)を手に入れる。
性が身近にあった時代、人々がナチスの思想に傾倒していった時代を、グロテスクで生々しい映像とともに描き出す。
映画としては非常によく出来ていると思ったが、内容に悪意を感じたためあまり好きではない。
感じた悪意の正体が何なのかはまだはっきりしていないが、1つ言えるのは、登場人物たちはみな歪んではいるものの、狂気を感じるものではないということだろう。
1人1人の行為は(少なくとも自分にとっては)理解できるものであるに関わらず、全体として反倫理的な雰囲気が漂っていてとても気味が悪い。
それがこの時代の全体主義というものなのだと言ってしまえばそれまでなのだけれど。
特に母アグネスについては、彼女に醜い大人たちの罪をあそこまで背負わせる必然性を感じなかった。
牛の頭を無数のウナギがむさぼっているのを見てアグネスが嘔吐するシーンなどは彼女の姦淫の罪を示しているのだろうけど、本当にえげつないことをするよなぁ。