Jaya

ブリキの太鼓のJayaのネタバレレビュー・内容・結末

ブリキの太鼓(1979年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ナチス政権下のダンツィヒで、3歳で成長を止めたオスカルが母を亡くし旅にでたりして自分の子と信じるクルトとダンツィヒを去るまでのお話。原作の第1、2部を元にしたらしい。

冒頭からかなり文芸的なにおい。インパクトのあるシーンは多いですが、文章がハッキリ見えてくるような表現で、原作の影響を強く感じ、話を詰め込んだような箇所もいくつか。

ダンツィヒでの歴史に合わせて、オスカルを軸に語られる寓話的な物語。ベブラ団長との旅が映像としても内容としてもクライマックス。初めて出会う同胞、その旅の破綻は象徴的でした。ウナギ漁の海のカットは強烈に印象に残る美しさ。

オスカルの配役が素晴らしく、よく見つけたなと思うよう。大人に対する軸としても観察者としても存在感が凄い。アルフレートとアグネスとヤンがダンツィヒを象徴するように、時代が全て凝縮された人々が生命力を以て描かれます。

ダンツィヒの土地そのものの記憶をオスカルに詰め込んだような、内に秘められた壮大さが伝わってくる傑作でした。
Jaya

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