Jimmy

光に叛く者のJimmyのレビュー・感想・評価

光に叛く者(1931年製作の映画)
3.8
刑務所内での殺人事件などを描いたハワード・ホークス監督作品。
ハワード・ホークスの初期の映画で、刑務所の中が描かれるが、囚人どうしがナイフなど受け渡ししたり、刑務所の所長の娘も刑務所内で囚人と恋するなど、「刑務所の中なのに、ずいぶんとオープンな環境なんだなぁ~」などと思ってしまう風景が見られた(笑)
特に、刑務所長が囚人にヒゲをそらせている場面では、「私が投獄した男はノドを掻き切ったからだ…」と言いながら、囚人のカミソリが所長の喉の近くにあるので、ドキッ!とする(笑)

青年ロバートはある娘を誘ってカフェに行って踊ったり飲んだりしていたが、その娘が他の青年に侮辱されたのに憤ったロバートはその青年を殴ってしまった。打ちどころ悪くて相手青年は死亡。殺人罪で刑務所へ。
ロバートは刑務所生活に疲弊していたが、この刑務所の所長(ウォルター・ヒューストン…あのジョン・ヒューストン監督の実の父親)は彼を苦役から刑務所自動車の運転手に抜擢した。所長の娘を車に乗せたりもする。ロバートは密かに所長の娘に好意を持つが、囚人の立場で言えない。彼女もそれに気付いている。
そんな時、脱走を企てた囚人たちがいたのだが、そのうち1人が密告して2人の囚人は射殺されたり連れ戻されたりした。そして、刑務所の囚人全員から密告者は恨まれることになる。全員で殺そうとする雰囲気が怖い…。
そして、とうとう密告者を殺害する時が来て、所長室にいた密告者は囚人(ボリス・カーロフ)によって殺された。そこにいたロバートは殺人犯を知っているが、密告者となりたくないので言えない。しかし、仮釈放目前のロバートだが、真犯人を言わない限り自分が殺人犯とされてしまう。
この「仮釈放(自由)」と「更なる殺人罪での重刑(拘束)」のどちらを選ぶかで葛藤するロバート青年のとった行動とは……。

この映画の大半が刑務所内での出来事であり、限られた空間であるにも拘らず、そうした閉塞感をあまり感じさせず、わりと大らかな雰囲気で撮り上げたハワード・ホークスの手腕は見事だと思う。
Jimmy

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