映画おじいさん

光に叛く者の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

光に叛く者(1931年製作の映画)
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トロい兄さんが、連れの女にちょっかい出す街の有力者のボンを殴ったら死んでしまって、刑務所行き……もの凄くマヌケな雰囲気、まるで教育映画のような演出で退屈極まりないスタート、そしてそれが続く。。

麻工場でボロボロになる兄さんとか、刑務所の囚人たちがウホホッと猿のように唸るのを次々とアップのオーバーラップで見せるところなどは目が醒めるくらい過剰で素晴らしかった。あとカーロフが刑務所長のヒゲを剃るシーンも良かった。

刑務所長の娘と兄さんが何きっかけでホレ合うのか分からんし、娘がホレているからって兄さんを釈放しようする刑務所長の職権濫用が気になって仕方がなかった。刑務所長の見た目が良い人ではない、要は悪人面なことも。

刑務所には法律を超えた囚人同士ルールがあって、それに板挟みなる兄さんが見どころでもあるんだけど、兄さんが頼りなさ過ぎて何だかぼんやり。

(以下、ネタバレ)

そのルールに従い強面の刑務所メイト・カーロフを守ってチンコロせずに地下牢行きの兄さん。そのことに胸が熱くなったカーロフは地下牢に乗り込んで顛末をぶちまける…何じゃそりゃな展開に失笑。

カーロフ犬死(←一応看守長は殺したけど積年の怨みが感じられなくてカタルシスなし)で兄さんが助かるハッピーエンドにガックリとなったけど、観てから数時間後に、そのウダウダした流れにグルーヴを感じて、ウェルメイドではないことの素晴らしさ、そしてその欠点を再検証したくなるような佳作に思えてきました! ファンタジー映画として面白い!