adeam

海を飛ぶ夢のadeamのレビュー・感想・評価

海を飛ぶ夢(2004年製作の映画)
3.5
事故で寝たきりとなって以来、数十年家族に世話をしてもらって生きてきた男が尊厳死を望んだことで、家族の間に巻き起こった論争がやがて世間をも巻き込んでいく人間ドラマ。
カトリックの国であるスペインで論争を巻き起こしたことは想像に難くありません。
重苦しいテーマを扱いながらも、観客がそれを我が事として考えてしまうように分かりやすく落とし込んだストーリーが良かったです。
孤独と絶望の果てにそこから逃避する為の悲観的な死を選ぶのでなく、家族や周囲の人々からの愛を感じるからこその合理的で理性的な決断として描かれているので、主人公の感情の動きに納得感があります。
神父との口論のシーンは主人公の考えと本作のテーマを分かりやすく解説する機能を果たしていますが、神父を単なる盲信的な人物ではなく、それなりに筋の通った主張をさせるあたりは絶妙なバランス感覚でした。
恋愛要素が分かりやすい感動を生んではいますが、もっと家族の葛藤にフォーカスして深く掘り下げた物語を観てみたかった気もしました。
adeam

adeam