改名した三島こねこ

祇園の姉妹の改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

祇園の姉妹(1936年製作の映画)
3.7
<概説>

芸妓をする貧乏姉妹の性格は、同じ境遇にありながらまったくの正反対であった。義理を重んじる姉。実利を求める妹。しかしそんな差異は些事とばかりに、男達は姉妹双方を悲劇に陥れる。

<感想>

あえてフェミニズムの文脈から離れての感想を。

本作は男に弄ばれる女という、時代的に正当性もある男性憎悪の視点が強いです。ただ本作の悪玉というのは何も男だけではありません。

主人公の二枚舌三枚舌に腹立たしさを覚えたのは、きっと私だけではないはず。身勝手というのならば主人公の行動も身勝手であり、彼等彼女等は相手方の悲哀など考えていません。

女性を弄ぶ男性。
男性を弄ぶ女性。

そのどちらもがきちんと映画には登場していて、実は本作で憎むべきは男/女ではなくて身勝手そのものなのです。

ではなぜここで男性側の暴虐が悪とされるかというのは、おそらくは男側の懲悪が劇的ではないからでしょうね。

たしかにのうのうとのさばる男もいるにはいるのですが、主人公を原因とする男性の没落劇も舞台裏でしかとある。

だのにカメラの不在だけでこうも印象が変わるとは、

やはり映像化そのものの効能というのは計り知れません。