雑誌編集長だった主人公。突然脳梗塞で倒れ、「閉じ込め症候群」という左目以外体の自由が奪われる病に陥る。この逆境を左目の瞬きのみでコミュニケーションを取り、自伝を書くことで希望を繋ぐヒューマンドラマ。
それまで全くもって普通の生活を送っていたのに、重病によりいきなり絶望の淵に立たされた主人公のジャン=ドミニク。彼を演じたマチュー・アマルリックの実力が存分に発揮されていましたね。普段の健常者であった時の姿と、障害を抱えた時の姿のギャップが凄かった。
ジャン=ドミニクからの視点、その姿を客観的に捉えた視点、過去の日々を描いた視点など、様々な視点から描かれる物語で、その演出の巧さに見応えが感じられます。
体は自由でなくても、心は自由。過去の思い出と今の自分の想像力で、生きる希望を見出だしていく姿に心打たれました。
劇中で流れる音楽も印象深いものも多く、中でもU2の「Ultra Violet (Light My Way)」は大好きな曲なので嬉しかったです。
かなり重いテーマでありながらも、悲観的な描写は比較的少なめ。所々で出てくる主人公の本音にもユーモアがあって、思っていたよりは暗くなりません。難病もので暗い気分になると思っている方がおられるなら、是非見ていただきたい一作です。
