フィルモワ

ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男のフィルモワのレビュー・感想・評価

2.0
破滅的な生き方しかできなかった人間ブライアン・ジョーンズに、わたしはかねてより強い魅力を感じていました。

高校生で少女を妊娠させてしまったり、薬漬けのうえに大切な恋人アニタに暴力を振るって見限られ、あげくキースに寝取られたり、自分が中心だった筈のローリング・ストーンズから解雇されてしまったり…。

まるでありとあらゆる幸福が、彼からスルリと身を翻しているみたいで。もちろん、彼の性格がそれを招いてはいるのですが、本当に、そういう星の下に生まれただけという気がするのです。「不良」を謳いながら、スタジアム級のメジャーバンドとして未だに活躍できるミックやキースの逞しさ、器用さが、少しでも彼にあればと、痛ましい気がしてなりません。

そんな思い入れのある彼をテーマにした作品なので、これ、危うく映画館で観るところでした。セーフ!!人間としてのブライアンを掘り下げるでもなく、ただただ1時間は出来損ないの再現ドラマのようなものが垂れ流され、ラストにようやくテーマが見えてくるといった体。特に、LSDトリップと回想シーンの編集は、陳腐で冗長でありました。ブライアンの死の真相にああした説があったことは知らなかったので、発見はありましたが、ファンの方にはおすすめできません。