主演は名優ダニエル・デイ=ルイス。相変わらずの甘い声。ボクシングのシーンも「彼だったらこれくらいやって当然」という迫力です。
「ボクサー」なんてストレートなタイトルがついてるので、「栄光を掴んで過去と決別する」みたいな、よくあるボクシング映画かと思ったら大間違い。純粋にボクシングに打ち込みたい主人公は対立する2つの勢力に利用され(ときには広告塔に、ときには融和の象徴に祭り上げられる)、その狭間で思い悩む彼の姿が描かれます。ボクシングシーンはさして重要ではないんですね。
なにより興味深いのはIRA闘争という社会背景。これって北アイルランドの独立闘争という認識しか持ってなかったのですが、カトリックとプロテスタントの宗教紛争という側面があったのですね。勉強になりました。