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デビルスピークのblacknessfallのレビュー・感想・評価

デビルスピーク(1981年製作の映画)
3.5
「ホラー映画ファンは最もジャンルに忠誠心がある」と言われるぐらい律儀だから、ある程度ペイが見込めるもんでリメイクやリブート、続編がジャンジャン作られるよね。
特に過去の名作のリメイクなんか伝わってくる情報から、なんかダメそうだな、と思っても結局気になって観に行くよね、そしてやっぱりダメだったてガクッてなる笑

リメイクは難しいんだよ、特に名作ってもう弄りようがないぐらいパーフェクトなわけだから、テイスト変えたら、何だよ、これ?てなるし(例・死霊えじきのリメイク)。かと言ってまんまやったら、これなら作る意味ねえよwってなるし(例・オーメンのリメイク)。
ホラーのリメイクで成功してるのは、イマイチなとこがあるけど突出したすごい描写があったり、図抜けた設定やキャラがインパクトを放ってるやつなんだよ。

マニアックのリメイクやサンラドラのリメイク、『ヒルズ・ハブ・アイズ』がおもしろかったのはオリジナルのへなちょこな部分やダルいとこをブラッシュアップしたからなんだよ。
なのでホラーはそういう超名作ではないけど印象に残る快作や怪作をリメイクしてほしい。

そういう意味でこの『デビルスピーク』は持ってこいだと思う。
ストーリーはいじめられっ子の少年(小太り)が悪魔を召喚していじめた奴らに復讐するいたってシンプルなもの。

超絶的な力を持ったいじめられっ子がその力で復讐する、『キャリー』の少年版なんだけど、残念なことにキャリーのような傑作じゃないんだよな。
メインキャストが男ばかりでむさ苦しいし、いじめられっ子もいじめる方も華がない笑 まあ、でも、それだけにリアリティーは高い。
いじめる連中は所謂ジョックスで体育界系気質。自分達の力に酔いしれ弱い者を虐げることに優越感持つ選民意識の塊で、これが華のないルックとマッチしてすげぇいやな感じが出てる笑
いじめられっ子は幼気でそのか弱いオーラがいじめられ映えする少年で洋の東西を問わずクラスに一人はいそうな感じ。
で、このいじめの描写がけっこうぬるい。囲まれて小突かれたり、ズボンを脱がさせたりと、けっこう地味で笑
やられる側としては屈辱的で悲惨だけど、映画的な飛躍が少ないから物足りなさがある。後に皆殺しにするわけで、結末といじめが釣り合わないから怨念を爆発させ復讐が成就するカタルシスはあるけど少し引っ掛かりを持ってしまう、「こ、殺すのはちょっと 、、」的な笑
キャリーのいじめグループは物凄く陰湿で残酷だから最後のアレで浄化されるんだけど、そこが少し弱いんだよな。

そんな感じで色々かなりアラがあるんだけど、この映画好きなんだよ。やっぱり不遇な少年が暗い情念に駆られて復讐を成就させるのは自分のバックボーンにビンビンに響くし、何より悪魔の力を使うというのがかっこいい😈
悪魔の召喚にパソコンを使ってるとこも凄いと思う。この時代にこの設定はかなり早い。先見性を感じるよな。

パソコンで悪魔の召喚なら今の方が説得力とリアリティーがあるし、新自由主義経済の世界では強者はどこまでも何をやっても許させるわけで、いじめはあらゆる世界のあらゆる場所で起こってる、以前より惨い形で。
どこを切っても今リメイクする必然性しかないホラーなんだよ笑

主演のいじめられっ子のクリント・ハワードはロン・ハワードの弟なんでロン・ハワードプロデュースでリメイクしてくれないだろうか?主演は『デッドプール2』のファイヤーフィスト役の少年で。
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