円柱野郎

名探偵コナン 水平線上の陰謀(ストラテジー)の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

劇場版「名探偵コナン」の第9作。
豪華客船アフロディーテ号の処女航海に参加したコナン一行。
そんな中、乗客の造船会社社長が殺害され、同じく会長も行方不明となる事件が発生する。

今回は全編が船上という限定された舞台でストーリーが展開し、ミステリーとしても状況が二転三転してなかなか面白い。
冒頭と終盤は明らかに「タイタニック」に寄せた描き方もしているけど、パニック映画的な描写は添え物で、全体的には殺人事件と謎ときがメインになっている展開も良い感じ。
前作とはミステリーとパニックの割合が逆転したような感じだけど、やはりこれくらいの塩梅の方が良いよね。
それに何と言っても終盤の毛利小五郎がとても格好良かったー!
いつもはポンコツなのに自力で真相に達し犯人を追い詰める姿にしびれたし、もう個人的にはそれが観られただけで満足ですわ。
嫁さんに似ているからという理由で「無実であってほしい」と真剣に調査したなんておっちゃんらしいぜw
なので正直言うと、その後に蘭を探さないといけないとかヘリコプターでの救助で危機一髪とかの展開が入ってきたのは…ちょっと蛇足にも感じたんだけども。

本作は冒頭から犯人が観客に対して顔バレしているので、いかに犯行を企てるのか、そしてコナンがどう追い詰めるのかという展開がメイン。
…と思わせるミスリードで話を引っ張る構造。
後から考えてみれば容疑者の候補なんて二択くらいにしかならない話なのだけど、真犯人に利用されている犯人自身が「自発的に犯行を実行している」と思い込んでいるもんだから、ストーリーを転がす上でそこが引っ掛けとしては機能しているよな。

そういや船上を舞台にした殺人事件は、劇場版では2作目以来か。
あの時は「犯人は救命ボートで脱出した」なんて話になってすぐに船上編が終わってしまったけど、本作でも第一容疑者はボートで外に逃げ出しましたなw
「あんなボートで外洋に出てどうする…?」などと思いながら観ていたら、すぐ近くに洋上プラントがあるもんなんだねえ。
そこに逃げ込むつもりだった…?
いや、警察に面が割れてるんだからもうこんな風に逃げても無駄だよな…とは冷静に考えるとそう思う。
偶然船の近くにプラントがあったのは、どっちかというと洋上チェイスに変化を付けるための演出上の都合だったのかもね。
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