Ryu

長江哀歌(ちょうこうエレジー)のRyuのレビュー・感想・評価

3.4
第63回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作品。

三峡ダム建設によって水没する古都を舞台に、16年前に離別した妻子を探す男と2年間音沙汰のない夫を探す女のそれぞれの物語。

まず、ダムの建設で強制的に移住させられるという事実に驚きました。自分の家が水に沈んでいくなんて辛い。そして当時の人々の生活も興味深い。その日暮らしのような厳しい生活を静かにリアルに見せつけられました。
セリフとセリフの間が長かったり、なんにも喋らない時間があったり、長回しも印象的でした。二つのストーリーに大きな繋がりはないし、それぞれにも大きな動きはないので、退屈さを感じたのも事実です。しかし、キャスト陣の極限まで抑えられた演技やくすんでいるんだけど美しさも感じる風景などもあってか最後まで見切りました。
全体的に非常にゆったりとしているし、よく分からない表現も多々ありましたが、世界観への誘いは強くて深い余韻を残す、不思議な作品でした。
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