NORA

バトル・ロワイアルのNORAのレビュー・感想・評価

バトル・ロワイアル(2000年製作の映画)
5.0
人生最高の映画は何か。考えるたびにさまざまな思いが頭をめぐるが、いまのところ、結局はこの作品に落ち着いている。それは必ずしも作品の出来そのものの良さを意味しない。若き役者たちの中には演技が拙い者もいるし、整合性に欠けた強引な脚本、クサい台詞、明らかに失敗している演出もある。だが、そんな疵はこの映画の価値を露ほども毀損しない。友達同士で殺し合うという刺激的な状況設定、そのなかで問われる42人の少年少女それぞれのアイデンティティ。ほとばしる血しぶき、鳴り響く銃声、鼻をつく硝煙の臭い、俳優同士の本気のぶつかり合い、そしてドラッグのように全身を駆け巡る罪深いカタルシス、頭をガンと殴られるがごとき圧倒的なパワー。それらすべてが、当時「彼ら」ー中学3年生ー自身であった僕を、文字通り虜にしたのであった。この映画と出会って20年ほど経つが、少なく見積もっても100回は通して鑑賞した。42人の登場人物は当然出席番号順&退場順に暗唱できるし、全部とは言わないが、9割方のシーンは台詞も暗記している。それでも、観るたびに新しい発見があり、快感がある。そんな映画は、他にない。
映画の役割とは何か。それは、人生に恵みを、潤いをもたらしてくれるところにあると思う。だからこそ、僕の人生をもっとも彩り、そして良い意味でも悪い意味でも「恵み」を与え続けた、否、与え続けているこの映画を、僕の人生ベストワンと位置づけている。ー今のところは。
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