踊子の作品情報・感想・評価

上映館(1館)

「踊子」に投稿された感想・評価

浅草の仲見世の一座で踊子と楽団員として働く姉夫婦のもとに田舎から妹が出てくるところから物語は始まる…堅実な姉と奔放な妹が織りなす反発と親愛のドラマ

ゆっくりとしたカメラの横移動が何度も出てくるのが印象的な清水宏監督作品で、監督の作家主義的なところが出ているだけかと思ったら最後にそれがストーリー上も効いてくるところが心憎い

悪魔的に奔放かつ魅力的な女を演じる京マチ子はぴったりのハマり役
脚もきれいな淡島千景と2人で踊る場面をもう少し見せてほしかったが概ね満足

「京マチ子映画祭」より
tokio

tokioの感想・評価

3.8
Rec.
❶19.03.19,角川シネマ有楽町/京マチ子映画祭
脚本(原作)はかなり急進的で、やや不自然な家族の在り方を提示している。
しかし演出は、60年代間近の作品とは思えないほどスローモー。物干しで涙に暮れる淡島千景へ、わざわざ3つも段階を踏んでカメラがにじり寄っていく必要があるとは、あまり思えなかった。

同い齢の大女優ふたりを姉妹に設定しているが、京マチ子は実年齢より10歳程度若い役柄を演じている。無邪気さを装う場合、彼女はいつも演技過剰になるが、本作も然り。
しかし同じ歌劇団出身でも、ダンスの華やかさでは明らかに分がある。
映画「踊子」(1957/清水宏監督/永井荷風原作)を角川シネマ有楽町で鑑賞。良かったです。ゆったりとした静かで穏やかなひと時を過ごせました。

鑑賞前に作品紹介を読んで、どんなにドロドロした激しいイザコザの物語なのかと思っていました。

演出によっては、いくらでも印象の違う作品にも仕上げられたであろうのっぴきならない出来事が次から次へと起きるのですが、全体を通してなんともほのぼのと穏やかな物語でした。

台詞、効果音、BGMまでも音量が常に抑えられて控えめで、いくつかのシーンでは、上映事故かと思うほどの長い無音シーンもありました。

もしも、家で観ていたら音量を上げただろうなあと思いながらも、今回は映画館で鑑賞することで、映画「踊子」は、この抑えた音量で味わう作品なのだろうなあとも感じました。こればかりは映画館で感じられた貴重なこと。

今回の京マチ子映画祭では、浅草を舞台に描かれた作品を何作品か鑑賞しましたが、映画「踊子」での当時の浅草寺の仲見世通り周辺や花やしき等のロケシーンも良くて魅入りました。

書籍「美と破壊の女優京マチ子」の映画「踊子」についての記述部分を読んで、京マチ子さん出演の数々の映画の中でのこの作品の位置づけ考察や、永井荷風原作のこの物語をどのように映画化し売り出そうとしていたのかなどの裏話に触れて理解が深まりました。

浅草のシャンソン座の踊子花枝役を淡島千景さん。花枝の夫山野役を船越英二さん。花枝を頼って田舎から上京し山野と花枝の暮らすアパートの一間に転がり込んで住み始める花枝の妹千代美役を京マチ子さん。三人生活、さてどうなるかの物語。

未だにDVD等のソフト化がされていないという貴重な作品を映画館で鑑賞できて良かったです。
妹が姉の夫を含む複数の男と関係して…という下世話な話が、こんなラストに着地するなんて。美しくエモいラストシーンに陶然となった。
カメラワークが美しく、特に京マチ子と淡島千景が部屋から出ていくところを写しながら、泣いている踊子にフォーカスし、結果として淡島千景の思いやりを表すシーンが良かった。
何もかも受け入れて愛していく淡島千景の胆力、娘から大人を演じ分けた京マチ子も素晴らしい。2人が踊る場面をもっと見たかったので、そこだけ減点。

「京マチ子映画祭」@角川シネマ有楽町
京マチ子のキレのある踊りは最高でした。何度でも観たいです。ショットもクールでさすが清水宏ですよ。しかし、ちょっと話が受け入れられなかったですね。淡島千景が気の毒でよく船越と京マチ子と一緒にいられるなぁと思っちゃいましたし、ラストのオルガンシーンで終わるのもなんだかなぁという感じでした。清水宏が子ども好きなのは伝わりますがね。子どもを楽屋に連れてったときの「みんなの子」だと言って相手するシーンが象徴的でした。京マチ子の食いっぷりと色気がむんむんなのでそこは最高でしたね。京マチ子映画祭って感じです。
色気、食い気に包まれた京マチ子に振り回される姉夫婦と田中春男演じる演出家の映画で、手前に物があって、基本的にカットバックやイマジナリーラインを乗り越えることは禁じられ、つねに覗くかのような視点から撮られてる。そうした傾向がラスト、船越英二がオルガンを弾いているところを京マチ子が伺うショットが露呈することに繋がっているのが驚異的で、清水宏が最初から最後まで厳密に演出を計算しているのがわかる。
冒頭、カメラは浅草のあたりを俯瞰で捉え左へ動き、それからアパートの屋上で右へと動く、というような酔いどれか何か、あるいは京マチ子の奔放さを表したかのようなショットか2.3ある。
女が振り返ることが5回ぐらい反復され、その瞬間瞬間が露呈させる。夜の屋上で、淡島を追っていくと、裸足で、船越英二はぶっきらぼうに「冷えるといけないから」とサンダルを渡す。話しているうちに淡島は柱によりかかり、泣き(ここで謎の三回ズームカット)、雨が降る。淡島はサンダルを船越の足元に返すと、地面が水で濡れていくというところは凄かった。
メロドラマを活劇にするには、2人だけで話している場面というのが重要だが、本作では常に屋上や花やしきの上(画面の奥で乗り物が出てくるのがイイ)、デパートの屋上、神社の階段の上といつも見晴らしがいい場所で行われる。ありがとうさんでも丘の上で石を投げる場面が名高いのと同様、これらのショットは何かを露呈させるのかもしれない。
5ショット目あたりのベッドで寝っころがりながらタバコを吸う淡島と船越英二の視線の交錯した感じは印象深い。6ショット目で「子供作らない?」という淡島に寄るのも鋭い。京マチ子が船越を誘惑するときも寝っ転がりながらだったが、この感覚がイイ。
脚本的にイイな、と思ったのは、淡島が赤ん坊を連れてくると踊り子たちがみんなで相手するところや、京マチ子がひたすら飯を食い続け入院したときも淡島に餅やシュークリームを見舞いに持って来させたあげく、「寿司2人前ね!」というのが可笑しかった。京マチ子が踊り子もやめ、芸者の馬鹿げたカツラにも飽き、3号さんになってしまうのも笑った。
扉をわざと開け放しておいて、肝心の段になるとわざわざ閉めにいくところをさりげなく撮る。
ラング口紅殺人事件の看板が!
AS

ASの感想・評価

3.8
@シネマヴェーラ
夫婦生活を営むしっかり者の姉のところへ、天真爛漫な妹が乗り込んでくる。日本映画を見慣れていると愛憎渦巻く展開を想定してしまいそうだが、清水宏監督の映画はやはりどこまでもやさしい。風俗劇を爽やかに描いてしまうところは、どちらかと言えばフランス映画に近い。
myg

mygの感想・評価

3.0
ドロドロ物でも「金色夜叉」のようにクールに徹底しながらもその中にメリハリ効かせる感じはなかった。京マチ子の盗癖の病理はないし淡島千景がお人好しすぎて話が勝手に流れていった。役者的に飽きはしないけど物足りない。
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