映画おじいさん

猟人日記の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

猟人日記(1964年製作の映画)
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シナリオライター(と近所に偽っていた)で、あの日記とは明らかにジェームス三木の「春の歩み(或る美少年)」がモデルじゃありませんか。この当時はまだ世間的にはバレていなかったはずで、もうそれだけで興奮。

クヒオ大佐の元ネタみたいなキャラも出してくるわで最高だったのが、次第に話が猟奇サスペンスに寄っていき気分がトーンダウン。どうでもいい推理シークエンスが長過ぎ。弁護士の北村和夫が黒板に被害者女性の名前を書いて長々とワンカットで話す熱演シーンで、「長げえな…」と思い始めたところでプチッとシーンが切れて笑った。
骨なし奇形児も私の感覚からすると悪趣味な悪趣味にしか思えない。

冒頭の血液体液の話の部分は、当然DNAというものが発見される以前なので、今ならDNAの一言で済む話をそれなしでやっているのが興味深かった。小池朝雄の声も◎。

北村和夫の「法廷は人間を道徳で裁くのではなく、法律で裁く場所だ!」(大意)というパンチラインが心に残ったけど、どこで言っていたかは忘れた。

写真を渡され「母親が誰かは言えないけどお前にも子供がいるんだよ」と仲谷昇が宣告されるラストは素晴らしい。一生十字架背負って生きろよ、と笑いながら言われたも同然。