茶一郎

續姿三四郎の茶一郎のレビュー・感想・評価

續姿三四郎(1945年製作の映画)
3.3
 【記録】
 まさかのデビュー作『姿三四郎』の続編。
 「二番煎じは嫌だった」「(製作当時)創作意欲が湧かなかった」「あまり上出来の写真ではない」と、作品を振り返る黒澤明監督ご本人の言葉も100%諦めモード、流石の黒澤監督もデビュー仕立ては製作に口が出せないんだな、と思い知る、自他共に認める失敗作が故、黒澤初期作の中でもかなり異質の味わいを占めているという印象です。
 すでに『姿三四郎』の時点で柔道家としても、男としても成長し切っている主人公・姿三四郎をどう描けばいいのか、という作劇における最大の問題を三四郎の敵となる人物に主眼を置くことで解決するとは……ティム・バートン監督作『バットマン リターンズ』かな。自身が柔道で強くなる反面、衰退する柔術家の仕事が無くなっていることに葛藤を受ける物語もイマイチ収束せず、ただひたすらに敵の復讐劇のみが展開していく歪なストーリーテリング。
 一番残念なのは、前作『姿三四郎』と比べて遥かにアクションパートが少ないことではないだろうか。前作のようなアクション活劇を期待していると痛い目に合う、とにかく変な作品でした。
茶一郎

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