KnightsofOdessa

ヘンリィ五世のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ヘンリィ五世(1945年製作の映画)
2.0
No.177[舞台と映画、融合の失敗] 40点

一枚の白い紙が青い空に舞ってるのから始まるってブレッソン『やさしい女』じゃないか!と勝手に興奮していたが、もちろん全然違った。ヘンリー五世時代(劇中劇)→シェイクスピア時代(劇)→現在と二重に重ねるのは、シェイクスピア時代の観客の反応を取り込みたかったからと見受けるが、この時代の観劇や役者の姿勢などを知ることが出来るのは興味深いとはいえ微妙。途中で客席に雨が降り込むのはバグなのか仕様なのか分からん(もしや4DX?!)。複雑な家族関係を説明する大司教役の役者がカンペガチ読みで、それを観客に爆笑されていたとこは笑わせてもらった。しかし、その後予想通り劇中劇という縛りプレイから都合よく外れていき、石畳の道路、馬、船、城などやりたい放題になる。『オーソン・ウェルズのフォルスタッフ』みたいな室内劇のダイナミズムを感じることもなく、舞台と映画が水と油のように分離している。それなら最初に劇中劇を意識させる意味も分からない。

最後の決戦で矢が飛ぶとこが漫画みたいで笑った。色調もマイケル・カーティス『ロビンフッドの冒険』みたいな奇妙なものなので、ローレンス・オリヴィエのシェイクスピアシリーズは『ハムレット』で十分。あれは面白い。
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