ちろる

僕の大事なコレクションのちろるのレビュー・感想・評価

僕の大事なコレクション(2005年製作の映画)
4.1
これは地味だけどなかなかの秀作なのではないだろうか。

想い出の品を全てジップロックに保存するコレクターというシュールな役をイライジャーウッドが演じ、ウクライナに住む通訳の青年とともにユダヤ系アメリカ人であった祖父のルーツを探す旅に出る。
始まりはコミカルに見せながら、背景はナチスに迫害されたユダヤ人たちの辛い歴史を入れ込み、偏屈で偏見にまみれたガイド役のアレックス爺さんがだんだんと忘れかけていた過去をフラッシュバックさせていくうちに、顔立ちが柔らかく変化していく演出もお見事。

「指輪があなたを引き寄せた」
なんて台詞もなかなか粋で脚本が効いています。
ルーツを探していくうちに、たどり着いた場所がまるで辛い時代から時間が止まっていたような古い小さな家で、その時空の隔たりを取り囲むようにひまわりが一面に植えられていたのが忘れられない。

アレックス爺さんの愛犬サビーデイビスジュニアジュニアがアレックスじいのお墓を名残惜しそうにしていたシーンにホロリとさせられるけど、御涙頂戴にしないところもまたセンスあって良かった。
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