浅野公喜

現金に体を張れの浅野公喜のレビュー・感想・評価

現金に体を張れ(1956年製作の映画)
3.7
競馬場強盗を企てる男達を描いたスタンリー・キューブリック監督のハリウッドデビュー作。タイトルの現金の読み方は<げんなま>。

キューブリック監督初期の作品に該当する今作、60年代以降の著名な作品で感じられるような小難しさは全く無く。そして凝った時系列は決して複雑になる事が無く、それぞれの人間の心情や状況を巧みに描写。犯行が行われる中盤以降にはバーで大暴れする大男の迫力有る乱闘シーンや犯人の一人の妻の浮気相手が突然襲撃する所も盛り込まれ、個人的には「地下室のメロディー」を思い出す呆気なさが伴った札束舞うラストまで目が離せません。狙撃手にとっての駐車場の黒人や空港における婦人が飼う犬等、ちょっとした存在が破綻に繋がる伏線として機能してるのも良かったです。
浅野公喜

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