《“とある”芸能事務所に思いを寄せて》Vol.41
ラスト2本!次がラスト。
松竹が描く江戸時代の天文ロマン。
『天地明察』。
これ、観るの2度目だが、普通に面白い。
日本史が好きだとか、江戸時代が好きだとか、乱世だけでなく太平だからこそ文学や文化が栄える背景が好きだとか。であれば、なおさら堪らん。
数学や天文学、測量。
そして、改暦。
一介の碁打ちが、自らの手で、足で、頭で、思いで、手を借り、足を借り、頭を借り、思いを継いで、日本を測量し、天地を測り、暦を正す。
この壮大なスケールで描く、無理難題へのあくなき挑戦。前途多難な紆余曲折。胸が熱くなる。
江戸時代の初期から中期にかけて。
徳川で言うと5代目綱吉とかその辺り。
一介の碁打ちが、日本の測量メンバーに選ばれることから物語が動く。
そこから、才に磨きをかけ、そこに人が集まり、誰もがなしえない、いや、疑いもしなかったことを疑い、誰も変えられなかったことに挑戦する熱い話。
安井算哲(これは実は父の名前を継いでたらしい)。後の渋川春海。天文方の祖。
これは彼と彼が編纂した暦、貞享暦の話。
その他、保科正之、徳川光圀、山崎闇斎、関孝和など、歴史の教科書にも登場する人々が続々と集結するところも、これはこれで日本史としてのロマンを感じれる。
皆がそれぞれの立場で、数理、天理の見地から“実態とのズレ”を感じている暦。
ただ、
この“ズレ”の正体、理由がわからない。
どのぐらいズレてるのかわからない。
どう直せばいいのかわからない。
直せたところで正してもらえるかわらない。
直せたところで何が変わるかもわからない。
そんなわからないことだらけだけど、なんかおかしい、に真剣に立ち向かい、ひたすら天と向き合い、詳らかにし、成し遂げる。
まさに「天地明察」。
松竹らしい、本格的な雰囲気の中に、多少の現代風アレンジも加えて、とても見やすい。
キャストも優しい人が多く、安心感と凄みがあり、壮大でどれだけ大層なことかが伝わってくる。
宮崎あおい、これはもうちょっと、、、惚れる。
そりゃ、岡田くんも惚れる。そりゃ結婚する。
男に媚びず、とはいえ、寄り添う。
相手の大切なところを相手と同じように思い、相手と育み、諦めかければ奮い立たせる。
そりゃ、そばにいて欲しいわ。
基本的に松竹のこの手の時代劇が好きだと言うのもあるが、その中でもかなり面白い方だと思う。
そっち系が好きな人でも、そうではない人でも楽しめるはず。
大河ドラマを総括して一気に観た後のような、歴史が動いたその瞬間を観たぞ!感も味わえる、壮大な学術系エンタメ時代劇。
最後の岡田くんの左手。
その後、宮崎あおいの着物に手をかけてるけど、ええの?ってのは、気になったけど、まぁそこはお後がよろしいようでご愛敬。