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武士の一分(いちぶん)のぉゅのレビュー・感想・評価

武士の一分(いちぶん)(2006年製作の映画)
3.9
2022年 鑑賞 22-95-10
BS松竹東急 にて
藤沢周平先生(「隠し剣秋風抄」収録の短編小説「盲目剣谺返し」が)原作 × 山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」に次ぐ、「時代劇三部作」の完結作で、幕末時代の海坂藩で、優れた剣技を生かされることなく毒見役の職を務め、視力を失った小侍の三村新之丞(木村拓哉さん)と、彼を献身的に支え続ける妻の加世(檀れいさん)を描いた時代劇作品。

ー 盲目で見えなくても愛は見える ー
やっと観ることが出来た!もう山田監督の時代劇作品に毎度沁み、時にキュンキュンし、カッコ良さを感じております!
真田広之さん × 宮沢りえさん の1作目
永瀬正敏さん × 松たか子さん の2作目
そして、
木村拓哉さん × 檀れいさん 3作目

話の流れは大体一緒。剣の達人だが、うだつの上がらない主人公が、愛する人のため立ち上がり、剣の能力を解放をする... という流れなんだが、今作は、最初から夫婦関係であるという。どう転ぶの?

赤つぶ貝には河豚同様に、怖い毒性があったとは... もう赤つぶ貝食べるの怖くなったなぁ... 河豚ほどの死に至る毒ではないにしろ...

主人公が視力を失ってしまうことが、夫婦であるとことが必須なのかぁ。ひとつ謎が解けた!幼馴染や女中では、ここまでは立ち入れないものね。
光、庭の風景、蛙の鳴き声、蛍の光、蝉の音... 自然を織り込んだ時代劇は、しっかりと引き継がれ、心撃つストーリーも健在。刀を巡る夫婦と徳平(笹野高史さん)の3人のいざこざは胸を撃たれた!

生への執着を取り戻した新之丞だったが、また、怒り心頭な事実が齎され...

“私が愚かでした 私が... しっかりしていれば... こげな事には...”
“そ... そげな冷たい目で 私を見ないでくだへい...”
落ち着こうとしているが、あからさまに怒りの感情の新之丞と、脱力しつつも、落ち着いた雰囲気で、腹を括った感じの加世... そして、怯える加世と、決意の加世。

この展開は... いい殺陣が観ることが出来る!流石、剣道の達人!前回の悪役である緒形拳さんが、今作は刀の指南役という嬉しい配置!

“もう言うな これは武士の一文に関わることだ”
“手篭め同様に妻の身体を奪った男を生かしておいては 私の武士の一文が立ちませぬ”
また、ある事実を知った新之丞は、復讐心が、メラメラと火がつき... 復讐の相手の島田藤弥(坂東三津五郎さん)。「盲目だからって油断するな!」って言われているにも関わらず、大体こういう時に「自分は剣術の免許皆伝の剣の達人で、盲目の侍なんぞに... 」って、いう奴は、油断しまくり... 殺されるフラグが立ったなぁ。正々堂々の新之丞、盲目の侍に卑怯な手を使う島田... 少し無器用だったが、盲目故に立ち振る舞いもそうだが、殺陣も無器用が一番!まさに “一撃必中” だった!そして...

“芋がらの煮物でがんす”
最後の展開も山田監督らしい!胃袋掴まれているから、目が見えなくても、わかるよね。目が見えないのに、冷たい目が恐ろしいと怯え、目が見えなからこそ、真剣勝負で相手をうち負かし、目が見えなくとも、誰の作った料理かわかる。とても沁みる1作。
木村さんの時代劇の演技に不安を抱いていた。いい意味でも、悪い意味でも、木村さんの演技は癖が強く、ビタッとハマった時は、1 + 1 以上にもなるが、ハマらない時はかなり厳しい結果に... でも、個人的にも激ハマりで、盲目の演技も素晴らしかった。でも、それ以上に檀さんの演技が素晴らしかった!秘密が明らかになった時の演技は素晴らしいの一言!山田監督時代劇三部作は、女性強しだから、めっちゃ良かった!加え、笹野高史さんや近藤公園さん、桃井かおりさん、小林稔侍さんらの山田組常連俳優さんたちが花の添え具合も素晴らしかった!最高の三部作の締めだった!

寅さんも芋の煮っころがしが好きなんで、新之丞と気が合うかも。

余談:口が悪いのは元々?おっさんだの、じじぃだの、ばばぁだの... なんか違和感なさ過ぎて...

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