スガシュウヘイ

武士の一分(いちぶん)のスガシュウヘイのレビュー・感想・評価

武士の一分(いちぶん)(2006年製作の映画)
4.0
「目が覚めるということは、何も見えなくなるということだの。」

俳優・木村拓哉の凄さを見せつけた作品。日本アカデミー賞最優秀主演男優賞確実と言われながら、事務所の方針で辞退させられてしまったのが、残念だ。

特に、盲目になってしまってからの木村拓哉の演技は覚醒している。焦点の合ってない目から放たれる冷酷な殺気。空虚な中に、研ぎ澄まされた怒りや迫力を感じる。
単に目力が強いだけではない。底知れない深みがあり、こんな目ができる俳優は、世界規模で見てもそうはいない。

唯一の欠点といえば、平侍にしてはちょっと顔が整い過ぎているという点くらいか。


その後、V6岡田准一が『永遠の0』で最優秀主演男優賞を取るわけだが、だったら木村拓哉にもあげて欲しかった。


彼の演技は、我が強いせいか、何にせよ批判されることが多いが、それは演出の問題。木村拓哉という男は、ちゃんとした監督が撮れば、凄まじい力を発揮することができる俳優なのだ。


公開:2006年
監督:山田洋次
出演:木村拓哉、檀れい、坂東三津五郎