らんらん

墨東綺譚のらんらんのレビュー・感想・評価

墨東綺譚(1960年製作の映画)
4.0
昭和9年夏、隅田川沿いにある私娼街玉の井、そこで娼婦をしている雪子(山本富士子)は芥川比呂志と出会う
通ってくる芥川に惹かれてゆく雪子、一緒になり店を持つことを夢見るのだが、出会いを重ねても彼のことは何も知らない
その芥川はというと実は妻子持ち、家庭内不和のやりきれなさから癒しを求めて通っている
だが惹かれる山本富士子と癒される芥川比呂志、そんな平穏で幸せな日々もそう長くは続かなかった、、、

山本富士子が東宝で主演!助演に新珠三千代、乙羽信子、淡路恵子、さらに原知佐子や岸田今日子まで出てるってんだから見なきゃ!と見に行って来ました

いつもながら眠い中行って、しかも混んでるしー、だったんだけど見に行って良かった!

やっぱり山本富士子良いですねー、おっかさんの為に身を落として、苦しい中でさらに仕送りして、めっちゃいい子!
性格も明るくていたずらっぽくてかわいらしい、序盤の着物がはだけたシーンのドキドキ感、眠っている芥川の寝顔にキュンときて勝手にイチャイチャし始めるシーン、あと歯が痛そうな女性ってセクシーに見える!
幸せ感マックスからの落とし、おっかさんが死んでいて、彼の心変わりを知り、自らは病で倒れる、この辺も良かった!
後から振り返れば、何をしてる人なのかどこに住んでいるのか名前さえ知らなかったというのに、惚れた弱みか女の弱さか、切なかったです

他の出演者について
淡路恵子は同僚役、アクティブな子、男に惚れやすく貢いじゃうらしい、病で倒れる
岸田今日子はその後釜の同僚役、出番はかなり終盤にちょっとだけ、あねごっぽい威勢のいい性格
原知佐子は同じ玉の井の娼婦、客として来た織田政雄と熱烈なイチャイチャを見せる、それだけの役、他の方とは絡みなし
日高澄子も同じく玉の井の娼婦、身体に自信があるらしい、明るくたくましい役
乙羽信子は芥川の教師仲間東野英治郎の妻、出番は少ない、見所としては碁なんか打ってる場合じゃない!とか言いながらついつい東野と打ち続けるシーンの面白さや、新珠三千代とのガールズトーク
新珠三千代は芥川比呂志の奥さん役、なので玉の井関連の方達とは絡みなし!ちょっと残念
家庭内不和の不満からか変な宗教に凝っていてなんか怖いwこんなの田中絹代で見たようなシーン
見所は乙羽信子とのガールズトークと、それまでの鬱蒼とした雰囲気ががらりと変わりニッコニコ、愛を取り戻したわ!みたいなのが面白い
その愛を取り戻すため猛プッシュするシーンの怖さ不気味さも面白かった、新珠三千代が迫って来たら負けちゃうよねー、男の弱いところですね
あ、あと男優陣、織田政雄や中村伸郎のらしい役所も好きです

当時の玉の井について知れたことも良かった、今回初めて知りました
遊郭ってのとはまた違うんですよね、街全体が娼婦の街?みたいなので
娼婦たちは2〜3人?で家で寝泊まりしていて、そこに客を引く、って形式っぼい
なんかお堅い感じがなくて気軽に行けそうな敷居の低さがいい感じ
でも街はゴミゴミしていて建物も貧相、おまけに川沿いで劇中夏なのもあって蚊に関する描写も多い、あんなに言われるくらい、常に蚊帳張るくらいだから相当なんだろうねー、嫌だわー
街の女たちが次々と病気で倒れていくのは商売柄もあるんだろうけど、やっばり環境が悪いよね
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