優しい嘘
雰囲気がとても好き
なにが面白いのかは説明しづらい
何でもない街角の煙草屋で起きる日常、でも同じ日はない
そこがいい
それでいい
煙草屋というのがまた更にいい
熟成した葉巻のように味わい深いストーリー、捉え所のない嘘で煙に巻いたり、イライラして吸う一本もあれば、ゆっくり語らいながら味わう一本もある
大きな事は起こらない
たいそうな音楽もいらない
変わらない日常に気まぐれにやってくる人生の転機
折に触れ、振り返ることで歩き出せる物語もある
ハーヴェイ・カイテルが煙草屋の主人
めちゃくちゃハマり役
パズルのピースがスッとハマるように気持ちの良い演技が印象的
日課の撮影をしているカメラ
はじめたきっかけのエピソードと、ラストにモノクロで描かれるシーンが凄く良い
BGMに乗せた映像が、吸い込んだ紫煙のように胸いっぱいに広がる、少しの余韻を残すような何とも言えない満足感と多幸感
クリスマスが近づくと思い出す作品。
葉巻愛好家の身としては、禁煙でまさしく煙たがられる時代
紙巻きタバコは物足りないし、電子系のタバコは風情がない
確かに健康にも良くないし、匂いや煙が苦手な人もいる
でも、付き合い方によっては人生を豊かにしてくれる良きパートナーともなれる
そんな味わい深い一本