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スモークのTRBのレビュー・感想・評価

スモーク(1995年製作の映画)
4.4
優しい嘘

雰囲気がとても好き

なにが面白いのかは説明しづらい
何でもない街角の煙草屋で起きる日常、でも同じ日はない

そこがいい
それでいい

煙草屋というのがまた更にいい

熟成した葉巻のように味わい深いストーリー、捉え所のない嘘で煙に巻いたり、イライラして吸う一本もあれば、ゆっくり語らいながら味わう一本もある

大きな事は起こらない
たいそうな音楽もいらない
変わらない日常に気まぐれにやってくる人生の転機
折に触れ、振り返ることで歩き出せる物語もある

ハーヴェイ・カイテルが煙草屋の主人
めちゃくちゃハマり役
パズルのピースがスッとハマるように気持ちの良い演技が印象的

日課の撮影をしているカメラ
はじめたきっかけのエピソードと、ラストにモノクロで描かれるシーンが凄く良い

BGMに乗せた映像が、吸い込んだ紫煙のように胸いっぱいに広がる、少しの余韻を残すような何とも言えない満足感と多幸感

クリスマスが近づくと思い出す作品。

葉巻愛好家の身としては、禁煙でまさしく煙たがられる時代

紙巻きタバコは物足りないし、電子系のタバコは風情がない

確かに健康にも良くないし、匂いや煙が苦手な人もいる

でも、付き合い方によっては人生を豊かにしてくれる良きパートナーともなれる

そんな味わい深い一本
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