カッシー

ダークナイトのカッシーのレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
4.8
絶賛!大傑作!と褒めまくるというのを前提に敢えてここはちょっとした不満点から…

それはバットマンのアクションシーンの見せ方の問題。
ノーラン版のバットマンはシリーズを通して"キーシ・ファイティング・メソッド(通称:KFM)"という格闘術を用いて悪党と戦います。KFMとはどんなものかというと、両手で頭を抱え込むようにして構えて頭部や胴体を防御しつつ、肘や額など人体の硬い部分を使って最小限の動きで相手を攻撃するというもので、最近だとトム・クルーズが"M.I.Ⅲ"や"アウトロー"などでやっていたかなり強くて実用的な格闘術らしいです。
んで、たしかにナイフやら銃やらを持ったゴッサムのゴロツキに対抗するには理想的な格闘術なのは納得なんですよ。
でもスーパーヒーロー映画の見せ場である悪党を倒す場面においては全く画として映えないんですよ。アメコミ映画におけるヒーローの活躍シーンはケレン味たっぷりにすべきなのにちっちゃい動きで肘やら頭突きやらで悪者を倒していくのはイマイチ盛り上がらない気がするんですよね。パンチひとつ繰り出すのにしたって思いっきり振りかぶってドスーンと相手の顔に一発入れてくれればいいのになぁ。
カメラワークも格闘戦の周りをぐるりと回るパターンがやたら多くてちょっと退屈です。実用性重視のスマートな格闘術でもボーンシリーズやザレイドなど見せ方次第ではいくらでもカッコよくてアガるシーンが撮れるのに…
さらにこれはバットマンというキャラクターの性質上仕方がないのですが、暗いシーンで前述のKFMのチマチマとした戦いを見せられるため何が起こってるのかよくわからんしバットマンが本当に強いという説得力を持ったシーンが少ないというのが残念なポイントです。


でも最初に言ったように今作はそれ以上にテーマ的なパンチの効き方、圧倒的な俳優たちのパフォーマンスなどすごすぎる要素が多すぎて褒めるしかないので長々と書いてしまった不満点は本当に大したことないです。

なんと言っても今作はジョーカーがヤバイ!
ヒース・レジャーの文字通り命を削っての役作りは有名な話ですがその結晶とも言うべきジョーカーの存在感。
人間が辛い時、心が折れそうな時に拠り所とするそれぞれの正義、信念をぶち壊した時果たしてその人はどうなってしまうのか。今作でバットマンやハービー・デントにその問いを突きつけるジョーカーに理解できないと感じながらもどこか惹かれてしまいます。
この映画を観た方がそれぞれ"マイベストジョーカーシーン"があるかどうかわかりませんが、個人的には病院を爆破するときに起爆スイッチを押してもちゃんと爆発せず"あれっ?"と振り返り肩をすくめスイッチをカチカチ押すと病院がドカーンとなるあのシーンが印象的です。あれ撮影中に本当に爆薬が爆発せずタイムラグが出来てしまいヒース・レジャーがアドリブで振り向いて肩をすくめたらしいんですけど、あのなんとなく楽しげな感じがたまらなく良いんですよね。

なんかものすごく長くなっちゃいましたけどとにかくこの映画、すげぇんです。初めて観たときは衝撃的でしたし今後語り継がれることも間違いなし。本当に凄い作品です。