GreenT

ダークナイトのGreenTのレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
1.0
これ iMDb で 9/10 だよ!

ゴッサム・シティの新しい地方検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)は、犯罪者を次々に一掃し、ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は、自分がバットマンとして裏でシコシコやっていた仕事を、公に法に基づいて遂行できるハービーを自分にはなれない"ホワイト・ナイト"として応援する。

バットマンのせいで生きづらくなった犯罪者たちは、ハービー・デントみたいな怖いもの知らずが街の権力者にも出てきて余計生きづらくなる。そこに出てきたのがジョーカー(ヒース・レッジャー)。

ジョーカーは、金でも権力でもない、ただひたすらアナーキーなことをするのが好きで、犯罪者たちが小さくなって生きているのは恥ずかしい、くらいに思ってるらしい。

すごい評価高いのは、「究極の善vs.究極の悪」そしてその狭間に陥ってしまったツーフェイス?みたいな、「深い!」とか言われているけど、そうかなあ〜。

めったくそ長いんだけど、その時間はとにかく次から次へと起こる犯罪を描くのに使われ、登場人物たちの人となりを見せる時間は全くない。「このキャラはどういうキャラなのか」は全部セリフで説明される。

ブルース・ウェインの憂いがよーわからんし。ハービー・デントのような人が出てきた、じゃあ自分はもう用無しだ、みたいな考え方。本当にゴッサム・シティを良くしたいなら、ハービーと協力する方法を考えればいいのに。「ヒーローは1人で十分だ」ってこと?チームの一員じゃイヤってこと?すげー自己満。

まあ〜ずっと自己陶酔型の低い声で喋ってますからね(笑)。

ジョーカーのキャラも、ヒース・レッジャーがすごく評価されて、この役の役作りで精神的に混乱して自殺してしまったと言われているけど、命を掛けてまで役作りするほどキャラ造形されていないと思う。すごい狂っている、サイコパス的な、アナーキーな、理論やモラルは通用しないヤツ、と描かれているけど、それを表す描写が全然ないんだもん。

口が切られている跡があるのは、DVお父さんに子供の頃やられたって説明しているシーンがあったけど、その時口を切られたハズの犯罪者、口を切るところを見せない。ジョーカーの犯罪、ってかクレイジーな行動も、札束の山に火を付けるとか、病院を爆発するとか、ひどいことしているように見えるけど、実際のところ全然「うわあああ〜」とか思わない。

札束の山の上には犯罪者たちのお金を預かってた実業家が座っているのであの人が焼き殺されたんだろうけど、そこには言及しない。示唆されるだけ。

つくづくタランティーノの映画は刺さるなあと思いながら観ていたよ。『レザボア・ドッグス』でのMr. ブロンド!!「こいつ頭おかしい。絶対関わり合いになりたくない!」って思うでしょ?ジョーカーはそんな風には思わせてくれない。「ふーん」って他人事になってしまう。

「ハービー」と「デント」って名前の人を殺しました、って下りも、死んでいる人がいて、そこに捜査に来たゴードンとバットマンが会話するだけ。デヴィッド・フィンチャーの『セブン』の犯罪現場のシーンだったら、あれを観ただけで「ジョン・ドウ、頭おかしい!絶対関わり合いになりたくない!」って思わせてくれるよね?この犯罪現場はそんなに訴えない。

ハービー・デントがツーフェイスになる理由も、まあわかんないじゃないけど、葛藤があんまり描かれないもんなあ。病院の部屋爆発されてるのに生きているのも謎だし。

ゴードン本部長(ゲイリー・オールドマン)も、身を挺して市長を守った!死んだ!ってなっているのになんの説明もなく生きてる(笑)

『ジャンゴ』で、汚い部屋の片隅に投げ捨てられていたDr. シュルツの死体・・・。主要キャラが虫けらのように死ぬことで胸がギュー!って締め付けられ、だから主人公、ジャンゴ、頑張れ!ってなる。

そういう瞬間がこの映画にはない。

だから登場人物誰にも思い入れがない。だってみんなプロットを進行さていく駒でしかないんだもん。

だから壮大なアクションシーンが全くハラハラしなくて寝落ちする。

ちなみにジョーカーの最後のシーン寝落ちしていたの気が付いてなくて、映画が終わったあと「ジョーカーどーなった?!」って巻き戻した(笑)。したら殺されてないのね。あれは続編でまたジョーカー出そうと思っていたのかな。

そう言えば、ジョーカーを殺せるチャンスが劇中3回はあったと思う。ああいうヤツは逮捕なんて考えずに迷わず殺しておけばいいと思う。バットマンは、こういうときこそ「闇のヒーロー」として殺人を犯すべき。

そう考えると、バットマンの苦悩ってすごい自己陶酔なんだよなあ。「俺にはできない」とか「どんなにがんばっても誤解される」とか「街を守るためには法を破らないとできないこともある」とかって苦悩しているけど、アーマーとか車とかに金かけているだけで、金持ちの道楽としか思えない。本当に人々ができない「汚い仕事」なんかしてないし。

クリスチャン・ベール好きなんだけど、この人の魅力も全く生かされてないしなあ。すごい一面的なキャラ。フラットなセリフと演技。『プレスティージ』ではすっごい魅力的だったのに。

忘れてた!ジョーカーの一味で、脚を撃たれるやつがポルカドット・マンだった(笑)!
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