回想シーンでご飯3杯いける

ダークナイトの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
4.8
つまみ食い程度に観たっきりだったクリストファー・ノーラン監督による「バットマン」三部作を、改めて鑑賞。これはその2作目。

敵役として新たにジョーカーが登場。パッと見は残忍なサイコパスという感じだが、実は冷静沈着、頭脳明瞭。正義と悪の二択をバットマンに、市民の新たなリーダーであるハービー・デントに、ゴッサム市民に、そして僕達観客に突き付ける。

本作でのバットマンは、ジョーカーによる二択のトラップによって、自らの正義を貫く事が困難となり、アクション・シーンさえ殆ど存在しない。そういう意味で、これはアクション映画でも、ヒーロー映画でも無いのかもしれない。なのに、数多のアクション映画を軽く凌駕する、この見応えと重厚感と言ったら! ノーランらしい複数のドラマが交錯する構成と、観客の予想を見事に裏切っていくジョーカーの行動で、全く目が離せない150分だった。

ジョーカーを演じたのは、本作の撮影期間中に他界したヒース・レジャー。背中を丸めた老人のような出で立ちが強く印象に残るが、この時点でまだ28歳だったというから驚きである。