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ダークナイトのnaoズfirmのレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
4.3

バットマン新3部作シリーズ第2作目🎬

ストーリーは街の平和のため正義を行使するバットマンの苦悩と葛藤の物語です。冒頭の銀行強盗のシーンからハラハラ感が止まりません!!そしてジョーカーが不快で不気味だけどカッコいいです。全く容赦ない展開の連続に息が詰まりました。見所は、やはりジョーカー。目を逸らしたくなるような残虐行為もいとも簡単にやってのけて、耳を塞ぎたくなるようなエピソードも嬉々として話します。あの顔に捕まってナイフを口の端に当てられたときの恐怖といったらないですね。想像可能な範囲の痛みであるからか、そこまでグロテスクなシーンではないにもかかわらずやたらと恐怖心が煽られます。躊躇いもなく飄々と行われる殺人。まさに道化です。ヒーローだって完璧じゃない普通の人間なんだということを学びました。ヒーロー映画とは思えない、重厚でシリアスなストーリー、映画好きなら必ず一度は観るべき作品です。

バットマンがいたからこそジョーカーが現れ、ジョーカーがいたからこそバッドマンが現れ、正にバットマンとジョーカーは表裏一体の存在です。そして彼はバットマンの正義のあり方に疑問を投げかけ揺さぶります。アメリカが独善的な正義を振りかざすのと同じく、今作におけるバットマンもまた自分勝手な正義を盲信します。例えばバットマンはジョーカーの居場所を探し当てるために、ゴッサム・シティのあらゆる通信を傍受するというシステムを作り上げてしまいます。それは、元CIA局員エドワード・スノーデンの暴露によって明らかになった、アメリカ合衆国と同じ行為です。巨悪を倒すためには小さな悪は許されるという、欺瞞に満ちたバットマンの正義感が露悪的に炙り出されます。今作は正に“アンチ・ヒーロー映画​”です。バットマンの迷いがあり、ジョーカーの迷いがありません。ジョーカーは人は迷いゆえに簡単に悪に転落することを熟知しており、人間の弱さにつけ込んできます。人は簡単に
正義にも悪にもなれるのです。

今作が傑作となったのは、そんなジョーカーという稀代の悪役を、ヒース・レジャーという天才俳優が全身全霊で演じ切ったことにあります。彼はジョーカー役の準備のため約6週間モーテルに引きこもり、キャラクターへの心理学的なアプローチや独特でサディスティックな笑い声の開発に勤しんだとされています。そしてヒース・レジャーは薬物併用摂取による急性薬物中毒により28歳の若さで急死します。死後、ジョーカーの強烈な演技が認められ、アカデミー助演男優賞を受賞しました。
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