HK

ダークナイトのHKのレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
3.9
クリストファー・ノーランによるDCコミックスの「バットマン」の実写映画作品。「ダークナイト・トリロジー」の第2作に当たる。

アメコミにも縁がない自分。映画に興味を抱いてこの作品が映画史に残るという傑作という理由で前作の「バットマンビギンズ」すら見ずにこれから見てしまった。

ジョーカーを演じたヒース・レジャーの演技は流石としか言いようがない。行動一つ一つがどれも冗談でやっているとか思えないあの狂気に満ちた演技が素晴らしい。自分の命も含めて人を駒としか見ておらず用が済めば息をするように殺すあの描写も素晴らしい。

しかし、その目的は金でも権力でもましてや快楽殺人でもない。人間の本性をさらけ出すこと。人間誰もがモラルや正義というもので性悪説的な本質を隠しているから、それを無惨にはぎ取って高みの見物をしてやろうというのが目的。まさに純粋な悪という以外形容しがたい凄い悪役だった。

バットマンにどっちを殺すか選ばさせるあの取調室のやりとりもヒースレジャーのどこかおどけた物言いからも余裕しゃくしゃくなところが窺えてある意味カリスマ性すら感じられた。

また、レイチェルを失い失意のどん底に落ちたハービーデントに対して銃を頭に押し付け殺させようとするのも素晴らしい。自分を殺したければ殺せばいい、でもそうすればお前の負けだ。相手の正義を利用してここまで弄ぶことができる悪役もそうそういないだろう。

しかし、最後にゴッサムシティの住民と囚人全員に囚人のジレンマ的な仕掛けをして、船を爆破しようとしたが、結果的に失敗した後もあまり落ち込んでなかったから、意外と人間を完全には見捨ててないかもしれない。

トゥーフェイスの最後でまさにバットマンが望んでいたゴッサムの正義のシンボルをずたずたにしたジョーカーは勝負には勝ったと言える。しかし、最後のバットマンの自己犠牲も良かった。全ての罪を背負ったバットマンがどうなるのか次回が楽しみになった。

なんかジョーカーのレビューみたいになってしまったが、それほどにこのジョーカーの存在感は大きかったと思う。ヒースレジャーが亡くなってしまったのが悔やまれえる映画であった。
HK

HK