sayuriasama

ダークナイトのsayuriasamaのレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
4.9
狂気、信頼、強さ、弱さ...人間とは何かを力強く描いた、アメコミフォーマットを越えた作品

レビューも何だかんだいって100本目らしいです..でも、シリーズもので稼いだり、洋画専門で始めたはずが邦画もちょくちょく混ざったりと方向性が分からなくなってますが...

ということで、100本目は自分が好きな一本から。もう10年も前なんですね、この映画。自分の中で、スクリーンで観た作品を「名画」認定する基準のひとつは、「複数回スクリーンで観たくなる」がありますが、この映画もそのひとつ。1日2回観たかも...
本作はクリストファーノーラン監督作品『バットマンビギンズ』の続編として作製。前作は実はスクリーンで見ていないのですよ..で、TVでみてかなり面白かったので『ダークナイト』を見たというわけですが.. .

うーん、まず作品の完成度が素晴らしい!クリスチャンベールのどことなく影のある資産家ぶり正にバットマンのオーラ。それを支える執事のマイケルケインに発明家モーガンフリーマン。いい人キャラもいけることが証明されたゲイリーオールドマンのゴードン警部の正義の人ぶり。ラストは彼の言葉で締めくくられますが、本当に感動しました。

そして欠かせないのはジョーカー。ヒースレジャー演じるジョーカーはアメコミといういわば「娯楽」の悪役を越えてましたね。あの狂気、群衆のたぶらしかた、まるでテロリストというか、世の中のアナーキーさ、ゆがみを詰め込んだようなオーラ。ヒースレジャーは生命を燃やしてこの役に没頭してしまったのでしょうか...

そして、正義を貫いているようで弱さを見せてしまったアーロンエッカートのハービートゥーフェイス。ブルースウェインとのなんともいえない三角関係もドキドキしたなあ。

ヒーローものといえば、最後はヒーローがスカッと勝つ、という単調になりがち、でもそれがいいのだ、という流れを予想していたのですが、ノーラン監督のストーリーテリングはそれを越えて、正義や群衆の心理、社会の弱みといった大きなテーマを「アメコミ」というプラットフォームで壮大に描ききったところに感動しました。

俳優陣にストーリーがしっかりしているだけではなく、病院の爆破シーン、高層ビルに佇むバットマン...映像美も迫力満点!
サウンドトラックもハンスジマーお得意の重低音で押せ押せのメロディ、カッコいいし、緊張感たっぷり。walkmanにも入れてます。(掃除のときくらいですけどね、聴くのは。自分を追込みます..)
2時間半くらいの上映時間もあっというまで見応えもありました。

次にこの映画に並ぶ作品はいつ登場するのか、本当に楽しみです。
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