ゼロ

ダークナイトのゼロのレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
5.0
全てを超越しているジョーカーという悪役。

クリストファー・ノーラン監督が描き出す「ダークナイト・トリロジー」の2作目。3部作ではありますが、単品で観ても楽しめる作品となっています。

バットマンではありますが、本作の魅力の多くは、ジョーカーが担っていると言っても過言ではありません。開始5分の銀行強盗で、ジョーカーを知ってるか?と複数の人間に問答させておきながら、本人が強奪しているジョーク。こいつ、やべえ奴なんじゃないか?と観客を惹きつけ、そこからは暴れたい放題です。演技に説得力を持たせているのは、ヒース・レジャー氏の賜物であることは間違いありません。

テーマとしても「バットマンの正義」VS「ジョーカーの正義」がぶつかり合っていました。ゴッサム・シティを守るバットマンには秩序やモラルがありました。人を殺してはいけない、悪人を成敗する。反面、ジョーカーは、犯罪をするし、人は殺すし、嘘も吐くし、何でもする。規則なんてものはなく、己の実現のために行動をしていました。

バットマンの正義とジョーカーの正義。彼らは表裏一体で、役割が違うから行動が違う。本作品では、表裏一体の存在として、ハービー・デントの存在も挙げられます。彼はコイントスで、物事の選択をしていました。何かを決める時、何かを選ばなかった理由は何があるんでしょうか。偶然でしょうか、運命でしょうか、規則でしょうか。理想に燃える地方検事は本質の1つであり、許せない人間をぶち殺したいのも本質の1つであることに違いありません。

他に、純粋なアクションとしても面白いです。場面展開が多く、テンポも良いので、152分の時間が短く感じられます。最初の銀号強盗、病院の爆破シーン、ジョーカーを追うカーアクション、ビルでの攻防。現実的な面白さを追求しながらも、魅せるところは魅せているので楽しめます。

全てのレベルが高水準であり、最後に表題であるダークナイトの理由を回収する手腕。今、観ても色褪せない作品でした。
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