1900年前後のアメリカを描いた作品。深刻な飢饉が長期化して大量のアイルランド人がアメリカへ移住したのだそう。アメリカにアイルランドからの移民が多いのは知っていましたが、なるほどこういう事かとアメリカ移民の歴史に対する一部のイメージを深めることができました。
本作の中心人物となる若者ジョセフ(トム・クルーズ)とクリスティー(ニコール・キッドマン)もそんな移民の一人。新世界アメリカへ渡り、新しい一歩を踏み出そうとする若い男女二人が困難や差別、経済的な苦難に直面しながら、絶望的な状況の中で互いの愛と絆を頼りに困難を乗り越えようと奮闘する、って話。
見どころはオクラホマ州の歴史的な出来事「ランドラッシュ」。1890年代前後で5回行われたのだそう。本作で描かれていたのはその5回の中でも最大規模のランドラッシュの様子。1893年9月16日の正午に決められたスタート地点からよーいドンで65ヘクタールに及ぶ土地を早い者勝ちで取り合うのだそう。東京ドーム14個分(?)の広い土地をわずかな手数料でゲットできるわけですから、入植者たちのまさに狂乱状態。その様子がスペクタクルフルかつエモーショナルに描かれていました。こんなこともあったのですね。
アメリカ人の愛国心をくすぐりそうな演出が随所に仕込まれているのがロン・ハワード作品っぽかったです。歴史的にはヨーロッパ系の移民で作られた国ですからね。白人系アメリカ人のハートには刺さりそう。
でもそもそもこの地域はネイティブインディアンに分け与える約束になっていたそうです。その約束をなかったことにして白人入植者に解放してしまっている背景については全く触れていないのもロン・ハワードっぽいかな。この機会にいろいろネットを漁って学ぶことができました。