刑期を終えて帰郷した青年(フランク・シナトラ)が、不用意な麻薬の摂取により元のアングラな生活に引き戻されてしまう。ネルソン・オルグレンの同名小説を原作に取っている、薬物絶対ダメ映画。麻薬中毒の被害という(当時の)タブーに挑戦している。
賭博と薬物を常習していた青年が「おれビッグバンドのドラマーになるんだ!」と再出発するのだが、彼の周辺には「各々の事情により、更生されては困る人たち」が居るため、更生の道を塞がれてしまう。
献身的な主人公に依存している車椅子生活の妻(エリノア・パーカー)と、人間の依存心を悟っている隣人女性(キム・ノヴァク)が、負の連鎖をサディスティックに牽引する。「薬物に限らず、人間に対しても依存すること」を、ものの見事に織り込んでいる。
臭いものに蓋をせず、問題提起することにより観客に考えさせる。当時としては野心的な作品であることがよく分かる。ジャズ・ミュージックの「ジャーン!」というアタック音と同時に、麻薬関連器具を次々と取り出していくシーンが、無駄にカッコいい。