ちゃくろねこ

黄金の腕のちゃくろねこのレビュー・感想・評価

黄金の腕(1955年製作の映画)
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オットー・プレミンジャー監督作。
面白いこれ。いろいろやるせない依存症の話なのに、音楽はやたらとかっこいいジャズ。エルマー・バーンスタイン!

闇賭博のディーラーでドラッグ中毒の主人公(フランク・シナトラ)は、ビッグバンドのドラマーとしての再起を図る。しかし、一度でも体に住みついたサル(麻薬を求める心)は、簡単には死んでくれないのだった…

ドラッグ中毒を初めてがっつり扱った映画。
でもクスリの怖さ以上に、主人公の妻の狂気が怖かった。車椅子生活を送る妻は、夫への重度の依存症。夫をつなぎとめる為に、あえて夫を酷い状態に留めおこうとする。今で言うモラハラ・DVだな。エリノア・パーカーってこんな役もするんだ…
シナトラは、あぁコイツ絶対またクスリやるわって表情とか、心が折れる瞬間とか、折れたら最後、一刻も待てない感じとか、意外に(失礼!)上手い。意志の弱い優男が似合ってた。
作中唯一の常識人・モリーを演じたキム・ノヴァクも良かったな。後の「めまい」などの妖艶なイメージとは違い、今作では可愛くてしっかり者で健気な女性を好演。

同じ50年代のエリア・カザン監督「欲望という名の電車」を思い出した。どちらも、タブーに挑戦してヘイズコードに対抗した作品で、少ない登場人物による、狭いコミュニティー内の、短期間に起こるやるせない出来事を描いた社会派作品。
こうゆう役者の演技バトルみたいな、舞台見てるっぽい映画好きだわ~現代の演技派俳優のバージョンで見てみたい。
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