わたふぁ

アレクサンダー大王のわたふぁのレビュー・感想・評価

アレクサンダー大王(1980年製作の映画)
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360° パンと、世にも不思議な“神隠しマジック”が今作の見どころ。

ところ選ばず演劇する。舞台はこの世。幕もないから幕間もない。それに、客席も用意されていないのか「わかってもらおう」とする意識が見えない。決してクローズアップもしないので、表情はおろか、セリフを言っている人物も判別しにくい。
しかし演劇はステージの上でおこなう物である、とか、映画には俳優の表情があって当たり前、とか、そもそも「その概念は誰が決めたんだ」という声が聞こえてくる。

前作に引き続きギリシャ現代史に詳しくないと難解だという反面、その国に生きる当のギリシャ人でも理解不能な映画なのではないかと思う。
これほどまでに“民衆レベル”に立って歴史を描かれることもないからだ。“民衆から見た戦争の感想”とでも言うような曖昧さ、しかも断片的で、精神世界の具現化に近い。

監督が、物語を意図的に構築すること、答えへ誘導することを嫌うのなら、受取り手に全てが委ねられている、とわたしは考える。
友達とアンゲロプロス作品についての議論をする予定もないし、監督はもうこの世にいないし、「正解」はたぶん一生わかることもないと思うから、自分が面白い!と思う「結末」を決めました。