改名した三島こねこ

汚名の改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

汚名(1946年製作の映画)
3.5
<概説>

ナチス党員を父に持つ女は、その人脈を買われてFBIの潜入捜査に協力することになる。FBI捜査官との愛と、女性性を駆使した任務達成。彼女はそのどちらを選び取るのか。巨匠ヒッチコックによる歴史的スパイ映画。

<感想>

ヒッチコック作品云々より、年代的なアメリカ世相がチラホラと見えてくるのが実におもしろい作品です。

WW2が終結した直後なせいか、まだまだ巨悪はナチス。
一方で物語の鍵は前年話題となった原子爆弾と最新式。
そして物語の原動力は、挙国一致を思わせる愛国心。

元より間諜が国際闘争ならば、それを題材とした作品に国際情勢が影響してくるのはなかば必然。社会が揺れに揺れているからこそのちぐはぐな戦争観、これが垣間見えるのは貴重であります。

また後々の『北北西に進路を取れ』は単純娯楽映画でありました。それと本作を対比してみれば、ヒッチコックでさえ社会背景から逃げられないのだなと世知辛かったり。

歴史的教養としてなら、最上の一品に違いありませんね。





私はマクガフィンの語源が知りたかっただけなのは内緒。