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汚名のRのレビュー・感想・評価

汚名(1946年製作の映画)
5.0
すばらしすぎ。何ひとつ文句なし! 確実にヒッチコックの最高傑作のひとつでしょう。全編にわたって一瞬もとぎれることなきサスペンス。主演ふたりケイリーグラントとイングリッドバーグマンの魅力もサイコーに発揮されてる。イケメンFBI捜査官デブリンは、ナチスのスパイとして弾劾された男の娘アリシアに近づき、父の友人であったナチスの残党セバスチャンの家へ潜入スパイさせるよう仕向けるのだが、計画の途中でふたりは恋に落ちてしまう。ここであの有名すぎるエロティックな長い長いキッスシーンが出てくる。ふたりがぴったりくっついて、口づけしては、離し、また唇を触れさせ、と何度も繰り返すこのシーンのエロス! これは是非とも真似してみてください。面白いことが起こりますよ。で、このセバスチャンというナチの男はアリシアのことが好きで、彼の気持ちに取り入って近づいていくため、ふたりはやがて恋人関係となり、そして……あれまあれまと、あらぬ方向へ発展。が、やっぱりアリシアはデブリンを愛してて、デブリンもアリシアを愛している。なのに、デブリンの義務感から、ふたりは完全に職業上必要な会話しか交わさなくなってしまう。ふたりとも自分の想いを押し殺して、アリシアがセバスチャンと親密になっていくプロセスを話し合う。どう考えてもセックスもしてるはずやねん。ほんとはデブリンに止めてほしい。でもデブリンはそれをしない。できない。その葛藤。2人の会話シーンにおける、気持ちの動きと探り合いを、目線で巧みに浮き彫りにしながら、表面上は任務の話をしてるという、このスリリングな面白さといったらない! そして、こっからさらに、セバスチャンの残党活動を暴くのに必要な、鍵とワインボトルとコーヒーカップという3つの小道具をからめた見事なサスペンスが展開していき、スパイ活動のスリルと恋のスリルが二重で話を盛り上げる! マジ絶品! 鍵をセバスチャンから盗み取るシーンのカメラワークの素晴らしさ、めまいを起こし始めるアリシアが見る歪んだ周囲の映像、そして、ラストショットの、あの、絶望的な、突きはなすような、冷たい冷たい怖さ、終焉へと男を追い詰めるカメラ! すばらしすぎて拍手喝采してしまった。めちゃめちゃ古い映像粗すぎなDVDで見てこの面白さやから、Blu-rayで見たらどんなによろしいことか!是非見てみたい。のに、この映画、Blu-ray化されてない。どうかしてる。早く出して!
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