イチロヲ

血に笑ふ男のイチロヲのレビュー・感想・評価

血に笑ふ男(1937年製作の映画)
3.0
宝くじの高額当選により大金を入手した女性が、謎多き中年紳士の急接近を許してしまう。アガサ・クリスティの小説を映像化している、イギリス産のサスペンス・ドラマ。原題を直訳すると「見知らぬ人からの求愛」。

ヒロインに接近する紳士がヤベェ奴だということを前提としている物語。「自身の危機的状況に気づくことができるか?」「現状を打開することができるか?」というところに、サスペンスを持たせている。

中盤部に入ると、ヒロインと結婚した中年紳士の凶暴性と人格形成の秘密に迫っていくドラマが動き出す。「豪奢な生活こそ無味乾燥なものである」という真理を察している元カレが、ヒロインを諭すことができずにジタバタしてしまう。

「署名や捺印を頼まれたときは、まず相手を疑いなさい。例え相手が親族や親友であっても」を地で行く物語。極めてスタンダードなサスペンス劇場だが、現実社会と直結しているため、ザワザワが止まらなくなる。
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