積み上げられた家の下(追憶の海)へ潜り、亡き妻との記憶を振り返るという発想が面白いですね。
年月を重ねるごとに水面が上昇し、家が鋭角になっていくのを見ると気持ちは曇りました。
おじいさんが孤独で可哀想な人に見えたからです。
ご老人がせっせと大事なものを上へと積み上げ、やがて誰にも見つからないまま孤独に死を迎える……そんな未来が待っているのかと思うと寂しい。
でも果たしてそうなのでしょうか?
10年以上の間をあけて、改めて観たら違って感じたことがあります。
一見、寂しそうなおじいさんは
実は自分の積み上げてきた立派な歴史の上にある今を感じながら、満たされて暮らしているのでは…?と。
自分の積み重ねてきた思い出と再会し、自分の人生の意味を考える。
いいことも、つらいこともいっぱいあった。
それらの思い出を全部抱いて、これからも積み重ねていく。
ひとり=孤独ではないし、過去を振り返ることは悪いことではない、と背中を押してくれた気がしました。