emily

私のように美しい娘のemilyのレビュー・感想・評価

私のように美しい娘(1972年製作の映画)
3.6
性の犯罪心理を研究するため刑務所を訪れた社会学者のタニスラフは、カミーユという女性から話を聞き研究を始める。やがて彼女の犯罪の話を聞いてる内に彼女の魅力のとりこになり、無実と信じ真相を調べ始める。

 出版されているべき本が出版されていないことから一年前にさかのぼり事の真相を明らかにしていく。社会学者のインタビューから回想が広がり、同時に話を記録に残していく秘書おり、彼女の片思いが同時進行される皮肉もユニークだ。奇想天外なドタバタ劇が本能のまま生きる女性カミーユのワイルドな生き方と交差し、そこにあらゆるジャンルが見事に重なり合っていく。ラブストーリーからサスペンスへ、コミカルな枠組みの中でトーンを見事に変えていき、挿入される音の効果が見事に世界観をどんどん入れ替えていく。

 彼女に罪の意識はなく、無意識に男たちを翻弄していくのはやはり自分に正直に生きているからだろう。だから彼女のペースに巻き込まれて騙されたとしても、それすらも心地良く感じてしまうのかもしれない。顔が決して美しい訳ではない。しかし本能のまま生きてる彼女は非常に魅力的で、誰しもがその生き方に憧れを持たずには居られないだろう。べたではあるが、しっかり構成されたジャンルに捉われないコメディで、爽快感さえ残してくれる。
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