Growltiger

ダンボのGrowltigerのレビュー・感想・評価

ダンボ(1941年製作の映画)
4.0

60分弱と短めで見易く、簡潔にまとまっており、そして見直したら不覚にもウルっとした作品。

コウノトリが袋を落として赤ちゃんを届ける冒頭のシーンからなんか夢がありますね。
幼い頃の私は「赤ちゃんはこうやって届くのか」と真面目に考え、母ジャンボのように夜空を見上げて待っていました。

ピンクの象のシーンの狂気はなんだろう(向こうではアルコールなどによる酩酊で幻覚を見る事を「ピンクの象が見える」と表現する事があるらしい)。
昔のディズニーのこういうちょっと狂った感じの絵や演出ってなんか怖いんですよね。

実は黒人差別などで批判もされている今作。
テントを張る労働者がみんな黒人だったり、カラス達が典型的な黒人を表しているらしい。
でも当時は当たり前に黒人差別があったのだからね...。
カラス達はむしろダンボの力になってくれるし、世間から差別される者が力を合わせて世間を一発ギャフンと言わせてやる。これって「グレイテスト・ショーマン」と同じじゃないですか?

“大きな耳”という異形のために馬鹿にされたり仲間はずれにされたりと辛い思いをするダンボ。
周りと違うからってそれを恥じる事はない。
....とは言っても、まぁ現実はそれを笑う人、馬鹿にする人、怖がる人もいるから傷つくんですよね。
そんな時にネズミのティモシーのような存在はとても心強い。
「どこがおかしいって言うの?可愛い耳じゃないの」とありのままのダンボを認めてくれる存在。
人間社会もこういう人がいる事で社会的弱者も前を向いて歩けるんですよ。

母ジャンボとの束の間の再会シーン。ここですよ。
ダンボ自身にも辛い事が沢山起きて落ち込んでいる所で念願の母との再会。しかし足枷を付けられている母ジャンボは窓にはあまり近づけず鼻だけ出して我が子を撫でる。
その鼻にすがり涙するダンボ。
(Baby Mine♪)
♪泣かないでね〜可愛い坊や〜♪

あれ....目から汗が....。