"血"に染まった怒り
PTA作品は本作が初鑑賞でこんなにも感情的になる映画は『ジョーカー』以来といってもいいでしょう。題名に「血(blood)」がある通り、まさに血と金に飢えた男の狂った意味でのメロドラマでした。
本作で二度目のオスカーを受賞したダニエル・デイ・ルイスの演技は当然のこと、ポール・ダノやその他キャスト陣の演技は全員が完璧に演じ切っていたと思います。
本作は、20世紀初頭のアメリカ西部が舞台。石油発掘で一攫千金を狙うダニエルを中心に神なんぞいるのか、誰が偽預言者なのかを問われ懺悔し、資本主義を批判しているかのような作品。原作である『石油!』はプロレタリア文学ですので、それを映画化したということはその思想を前提とし製作されたのかもしれませんね。
金の為に人を利用するダニエルと、金の為に神の力を借りるイーライ。この2人の対の関係がより資本主義の卑しさというものが伝わってきます。
淡々と物語は進むものの、なかなか難しい作品でした。