yukihiro084

ゼア・ウィル・ビー・ブラッドのyukihiro084のレビュー・感想・評価

4.5
映画の魅力のひとつに、
例えば、僕が人生で体験することが
ほぼ不可能な人生に、ほんの少しでも
触れることが出来ることだ。

よく(予想と違っていた)とかあるけど、
僕は、自分の予想なんてバシバシ
越えていってもらっていい。
お金を払って観に行っているのだから、
自分の予想の100億倍くらい
(なんじゃこりゃー)がいい。

(ゼア・ウィル・ビー・ブラッド)
映画館で鑑賞。どこで観たか忘れたけど
この時代に単館だったんじゃないかな。
観るのに苦労した思い出がある。
原作本も手に取るものの(石油!)って
そのまんまのタイトルに惹かれず、
結局買わず。翻訳物でもタイトルって大事。

ダニエル・ディ・ルイス、ポール・ダノ共演作。
ポール・トーマス・アンダーソン監督作。

僕は石油が噴き出るような土地も
世界もその日常も知らないし、
石油成金も知らないし、
取り立てて信仰心もない。
そもそも時代背景もハッキリわからない。
つまりこの作品に映し出される世界を
理解する、とっかかりすらない。

お金もない胡散臭い山師が、
石油で成り上がってゆき、
人間関係や時代に翻弄されてゆく。

1ミリも共感できるポイントはないんだから、
わかんないも何もない。理解は出来ない。
だからって退屈はしない。むしろ見応えはある。
だってこっちは圧倒されてるから。
だって、ダニエル・ディ・ルイスだから。

ダニエル・ディ・ルイス演じる主人公の
生き様を追ってゆくと見えてくる、
人間の業、人間の欲望、人間の価値、
手にするもの、失ってしまうもの。
ダニエルの演技によって、
生々しく、無遠慮に、暑苦しく、
丸裸のような感情や思考で迫ってくる。

強烈な映画だった。
皮の分厚い手のひらでビンタされたみたいに。
忘れられない映画ではあるね。
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