優しいアロエ

ゼア・ウィル・ビー・ブラッドの優しいアロエのレビュー・感想・評価

4.8
【過去鑑賞作品 70】

〈富をズルズルと吸い上げる資本主義大国アメリカの痩せこけた本当の姿〉

油田を自力で掘り当てた男に神など無用。されど、油田の上に教会が立っているのなら話は別だ。こうして始まった石油と宗教のマウントの取り合いは、流血を免れぬ狂気の最終ラウンドへともつれ込む。

 だが、そんな妥協なき石油王にも、ときおり血縁への執着が顔を覗かせる。すべてはビジネスのためだと言ってはいるが、いや、彼は最低限の家族の形成を望んでいる。しかし、その高すぎる理想ゆえに、ささやかな憧れも呆気なく裏切られるのだ。手元には石油しか残らない孤独な末路である。

 ジョニー・グリーンウッドの手掛けた音楽は『パンチドランク・ラブ』のそれに劣らず実験的で、陰鬱としたシーンにカラッとしたものが流れたりといった多義的な含みが、ときおり予想だにせぬ発想をこじ開けた。
優しいアロエ

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