bonkura4696

ゼア・ウィル・ビー・ブラッドのbonkura4696のレビュー・感想・評価

4.0
石油が吹き出て塔のようなものが燃えてそれを倒すシーンが同時多発テロを想起させる。作中の時代は違うけど9.11以降のアメリカの混乱がテーマなんかな。神が誰も救わないことに気づき始めた人々は金で救ってくれる人を信じはじめた。狂信することの脆さと満たされない慾望の隙間にある潔癖性を逆手に取って悪魔はその人の中に住み着いてしまう。

油まみれの石油採掘家の話だからもちろん富も名声もあるはずなのに女の人との絡みがない。冒頭の事故でインポになったんや!と思ったらダニエルが自ら家族を形成できないことへの絶望や孤児を拾って育てた理由にも合点が行く。

愛に見捨てられたひとりの男が資本主義社会の中で神に復讐していく様は圧巻。ラスト間際の孤児との楽しかった時間を回想するシーンにこころが嗚咽したのも束の間。

ポールトーマスアンダーソン監督の映画を立て続けに3本見たが全て当たり。狂った男の話は見ていて感情の移入と離脱をわかりやすく感じるからいい!!
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