エルボーメソッド

ボビー・フィッシャーを探してのエルボーメソッドのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

アメリカのチェスプレーヤー、ジョシュ・ウェイツキン氏の幼少期を描いた作品。

彼の著書『習得への情熱 チェスから武術へ』を読み、彼の幼少期に興味がわき、本作を鑑賞。

物語の主軸は、ジョシュのチェスプレーヤーとしての成長物語。
そして、彼の類稀なる才能へ期待する大人たちの愛情をめぐる物語でもある。

ジョシュを演じた子役の演技が、素晴らしい。物語の大半は、チェスのシーンで会話がない。だが、視線の動きや、ちょっとした挙動だけで、感情の揺れ動きがありありと伝わってくる。すごいです。本当に。

ストーリーの中に「チェスとは何か?」そして、「人間が成熟するとは何か?」という哲学的なテーマがいくつも横たわり、鑑賞者に多くのことを問いかけてくる本作。そういった思考することが求められる点も本作の魅力だと思います。

そして、大人は子供にどう愛情を注ぐべきか?という点に関しても、非常に考えさせられました。
子供への愛がいつしか淀み、子供を自分の欲求実現のための道具にしてしまうというのはよくある話。
本作を通し、独立した個として、子供と対等な関係性を築くことの大切さに気付かされました。


総じて、物語は静かな展開ではありますが、そのテーマ性は広く、そして深い。
とても楽しめる作品でした。
是非とも、お時間がある方は、氏の著書と共に本作を鑑賞して頂けたらと思います。