ゆみゆみ

サムライのゆみゆみのレビュー・感想・評価

サムライ(1967年製作の映画)
3.7
アラン・ドロンは美しいなぁ。黙って立ってるだけで絵になる。

小鳥の鳴き声が響く、がらんどうの部屋のベッドで横たわる孤独な暗殺者ジェフ・コステロ(アラン)。
彼を慕うジャーヌ(ナタリー・ドロン)にアリバイを頼み、バーの支配人を暗殺するコステロ。しかし殺害現場を立ち去る時に、バーのピアニストのヴァレリー(カティ・ロシェ)に目撃され、警察から容疑を掛けられるが、ヴァレリーは彼ではないと証言する。

コステロの無言の動きを終始追う作品。ほとんど喋らないコステロ。そこがスゴイ。彼の行動で緊迫感が伝わるし、怪我を手当するシーンや、警察の追跡を巻くために、地下鉄を何度も乗り換えるシーンなど、割としつこいけど、それが作品の雰囲気を決定付けている気がする。
孤高の殺し屋。
誰にも心を開かずに生きてきたコステロの孤独が、ラストの彼の行動を余計に悲哀に満ちたものにした。





***ネタバレします***








ラスト。
ヴァレリーの暗殺を依頼されたコステロがバーで帽子を預け、控えのチケットをその場に置いてくる、カウンターのバーテンダーの前で手袋をはめ、バーテンダーが後ずさりしたのを確認するとヴァレリーの元へ。空の拳銃を突きつけ、ヴァレリーから目を離さないコステロ。これは自殺だ。悲し過ぎる。
ジャーヌの「あなたには私が必要でしょ?」の質問にもNONで答えた。ずっと孤独だった彼にとって、ただヴァレリーだけは(たぶん)初めて大切な存在になったのだろうな。
孤独な部屋から愛する人のところへ。

渋い男の代名詞のようなコステロの最期。
ゆみゆみ

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