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サムライのArispのレビュー・感想・評価

サムライ(1967年製作の映画)
3.8
青白く朽ちた質感のアパート。がらんどうの部屋の中に小鳥のか細い鳴き声だけがキーキーと響く。
その部屋の主が、アラン・ドロン。
このアラン・ドロンが、実にいいのである。顔色ひとつ変えずに行う、つま先まで神経が行き届いた完璧な身のこなし。どうやらこれは彼の生まれ持った才能のようである。熱のこもった演技をするとどうもうさん臭くなるが、ポーカーフェイスで寡黙な役をやらすと俄然そのスマートな立ち居振る舞いが活きてくる。今回もアランドロン、余計なことは一切しゃべらずひたすら黒子に徹しようとする役所がハマってる。それでその心意気が“サムライ”っていうんだから、アランドロン。不意に姿を消してしまいそうな物憂げな瞳のアランドロン。もしかしてアランドロンて言いたいだけなのかもしれないという気がしなくもないけれど…必見、アラン・ドロン映画。
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