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サムライのmingoのレビュー・感想・評価

サムライ(1967年製作の映画)
4.2
凡百の犯罪映画とは異なり、燻し銀のようなオーラを発す本作はメルヴィル流ブシドーの傑作フィルムノワールである。
まずアランドロンの静謐でいて、無機質的な、細かい演技に目が離せない。メルヴィルのマフィアもの見れば見るほど画面を覆う冷たく張りつめた青灰色の色合いといい、不穏なのにキャッチーなフランソワドルーベの音楽の使い方といい、北野武の上位互換と言わざるを得ない。キャメラは言わずもがなこちらの天才、メルヴィルデビュー作「海の沈黙」のアンリドカ。ちなみにルイマルもトリュフォーも同上。観やすさエンタメで言えばメルヴィルのフィルモグラフィの中でも上位か、またシネフィル的にも対応の二刀流は流石。そして孤独と虚無という牢獄に囚われ、本作は初めから死を意識しており、呪われた魂の物語であるにもかかわらずサムライの行方をただ見守るしかできないからこそ観るものに響く。あぁ、これが映画だ!と。追記だが、ついに渋谷TSUTAYAで渋コレから外されたので100円でレンタル可能。
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